GraXpert等でお手軽画像処理

1月末から休暇が舞い込んできてしかも1月30日は快晴でした😄

クラゲ星雲が撮影時期です。1月30日のクラゲ星雲の天中時刻が21時41分だったので19時頃から天中時刻頃までの撮影に出かけました。撮影場所はいつもの撮影場所である山の展望台までは先週からの残雪で山道が通行できなかったので自宅近くの公園駐車場。街灯や街明かりがそこそこ明るい場所ですがナローバンド系のフィルターで光害をカバーです。

IC443(Sh2-248)クラゲ星雲からSh2-249 周辺

撮影日:2024年1月30日
各フィルターでの撮影開始時刻と露出時間

IDAS NBZ-Ⅱ:19時16分、露出 : 360秒×16枚(96分)
サイトロンCBP:21時15分、露出 : 360秒×7枚(42分)
撮影地:京都府舞鶴市
撮影ソフト:SharpCap 4.0

鏡筒: Askar 65PHQ(焦点距離:416mm(f6.4))
カメラ:QHY268C(Readout Mode#1Gain:57 OffSet:30 Temp:-8℃)
赤道儀:SkyWatcher EQ6R、極軸合わせ:PoleMaster
ガイド鏡:SVBONY SV165、ガイドカメラ:Cers-C、ガイドソフト:PHD2
その他:SVBONY FW(フィルターフォイール)、ZWO EAF(電動フォーカサー) 

IC443 アノテーション

撮影開始時の天体位置

お手軽画像処理 

私の最近の画像処理ではPixInsightにてWBPP処理後に → SPCC(色合わせ) → BXT AI Ver.4 → STFとHistogram Transformation → GraXpert(勾配補正)の流れですごくお手軽に処理のベースを作成しています。WBPP処理後にすごく短時間でベースが作成できてベースが優秀なのでその後の処理も楽になりました。

今回の画像処理も、この様にベースを作成した後SXTにてStars画像とStarless画像を分離→Starless画像をCurvesTransformationで彩度強調→ScreenStars SCRIPTにてStars画像とStarless画像を合成 → Photoshop CS2(彩度微調整)→ RawTherapee 5.8(コントラスト、色チャンネル、黒レベル調整)で、あっという間に出来上がりという感じです。 

極めようと思えばやり方はほかに色々あると思いますが、とりあえずお手軽に仕上げたい場合は良いんじゃないでしょうか。

 

特にGraXpertによる勾配補正はお手軽処理にとても役立っています。

今まで勾配補正はPixInsightのABEかDBEを使っていましたが不慣れな所もあって手間がかかるのと思い通りにならなくて何回もやり直しの繰り返しで結構な時間を費やしていました、その点GraXpertでの勾配補正では簡単な操作であっという間に済んじゃうので時短も含めてお手軽です。

 

GraXpertについてはPixInsightのSCRIPT>Toolboxから呼び出す事が出来る様になりましたがPixInsightがなくてもGraXpertソフト単体(Windows版、MacOS版、Linux版)で使用する事が出来ます。

GraXpert

GraXpertの操作画面で色々設定箇所がありますが、とりあえず使うのであれば変更する設定はGrid Tolerance(補正用ポイント打点の箇所(数))だけで他はデフォルトのままで良いと思います。

Grid Toleranceの値を決めてCreate Gridをクリックすると補正用ポイントの打点が表示されます。

このポイント打点は表示後に各ポイントをドラッグアンドドロップで移動、ポイントの無い場所を左クリックでポイント追加、各ポイントにカーソルを合わせて右クリックでそのポイントの削除も出来ます。

後はCalculate Backgroundボタンで実行するだけです。

処理が終わるとProcessed画面が表示されるので、良ければ保存ファイル形式を選してSave Stretched & Processedで保存します。

左:GraXpert補正前original画面  、右:GraXpert補正後Processed画面

BXT AI Ver.4とGraXpertの処理順番で、どちらを先に使うかですが今回の処理画像の結果が下記です。

上:SPCCまで処理が終わった画像
左下:上画像にGraXpert → BXTの順 、右下:上画像にBXT → GraXpertの順

今回の処理ではSPCCまで処理が終わった画像にBXT → GraXpertの順としたほうがよりBXTの効果がある様です。

 同じ検証をmayururiiさんがPIの疑問メモ - もりのせいかつ 別館でされていますが、その記事では逆にGraXpert → BXTの方も良さそうで処理対象によって違いが出てくるかもしれないので今後の処理で検証していこうと思います。

 

過去の画像をBXT AI Ver.4とGraXpertを使用して処理してみた

2022年11月12日撮影のvdB142 象の鼻星雲

鏡筒:BKP200/F800、カメラ:QHY268C、赤道儀EQ6R

露出:Gain:0(Readout Mode:#0) OffSet:15 Temp:-3℃、 12x600s(120分)

その他:F4コマコレクタ、 ZWO DuoBandフィルター、PHD2オートガイド(Neptune-C II,  EVOGUIDE 50ED II) 

当時の処理画像 

上記の当時処理していた画像をBXT AI Ver.4とGraXpertで処理すると見違える効果が得られました。

上記画像をBXT AI Ver.4とGraXpertで補正
2023年4月10日撮影のしし座トリオ銀河

鏡筒:BKP200/F800、カメラ:QHY268C、赤道儀EQ6R

露出: Gain57(Readout Mode:#1) OffSet:30 Temp : -8 ℃ 、48x300s(240分)  

その他:F4コマコレクタ、 IDAS  HEUIB-IIフィルター、PHD2オートガイド(Neptune-C II,  EVOGUIDE 50ED II) 

しし座トリオ銀河 補正前

この時の撮影画像は周辺減光がひどくてフラットも合わずPixInsightのABEやDBEでもうまく勾配の補正ができなかった為、処理をあきらめていたのですが フラット補正無しでもGraXpertにて周辺減光を補正でき、その後にBXT AI Ver.4や色彩強調などの処理をすると⇓の様な画像までもっていけました。

しし座トリオ銀河 GraXpert及びBXT AI Ver.4や色彩強調にて補正後

 

それにしても最近、画像処理ソフトの進化が凄いですね。

 

今回の記録は以上です。