口径20Cm反射望遠鏡の主鏡が歪む?

今月の休暇中に天体撮影のチャンスは13、15、16、17日の4日ありました。

まず13日、今回は口径20Cm反射望遠鏡SkyWacher BKP200/F800で散開星団を撮ろうと決めていたので気合をいれて主鏡を洗浄し主鏡マスクも作り直しました。

主鏡マスクは外径206Cm、内径192mmで作製した物を使っていたのですが、すこしでも光量を増す為に新たに外径204Cm、内径196mmで作製し爪押さえの金物も撤去。爪押さえの幅よりちょっと小さくなったのは気になるけどこれで内径が4mm広がったので写りがどれ位変わるか楽しみにしていざ撮影準備に

ところが!ベガでスターアライメントがてらピントを確認しようとしたら何か変!ベガにピントが合わない。光条が割れるし周囲の星の型が亀みたい!なにこれ!

上の画像でピント合わせ精一杯!露光時間2秒で星像が流れているわけでもありません。

こんな事は初めてだったのでパニくって光軸を再確認、

光軸確認は必ず毎回鏡筒設置時にレーザーコリメーターと光軸調整アイピースとのダブルチェックで行っているのですが今回設置後の調整からくるってはいない。ていうかいつもの調整通り。星像がおかしい原因がわからないのですが今回、主鏡マスクを変更したのがいけなかったのだと思い当日の撮影は泣く泣く断念。

翌日にとりあえず主鏡マスクを元にもどして爪押さえの金物も元通りに取り付け。色々調べたら星像が歪むのは主鏡の圧迫が原因みたいなので主鏡の爪をやさしく押さえる様にゴムのガタつきがなくなる位の最低な力で締め直し。

更に主鏡セルを鏡筒に取り付ける6本のビスも締めすぎない様に注意して取り付けました。

当日は天候不良だったので次の日の15日に再び撮影へ。

しかし!やはり星像は変で、ベガがおむすび型というかベルみたいな型に!

この日も残念ながら撤収となり、撮影が出来ないまま、いびつな星像と格闘する日々となりました。

帰宅後、この現象についてインターネットで検索。やはり星像がおむすび型になるのは主鏡の圧迫との記事が圧倒的に多かったのですが中には斜鏡の位置ずれやら接眼部のスケアリングのずれ等の記事も。主鏡は緩めに締め直したし接眼部は一切いじっていないので光軸調整の際に斜鏡の位置がずれたのかとも思い斜鏡の位置調整に関する取説みたいな情報を集めて斜鏡の位置を確認がてら調整してみる。

翌16日も天気に恵まれたので撮影確認へ・・・ベガでなんとかピントをあわせる事が出来る様になったものの周辺の星に大量のおむすび型が発生!

結局星像改善せず光条も汚な~!こんな状態では撮影どころではないので、この日は反射望遠鏡をあきらめて保険目的で持ってきたAskar 65PHQ屈折APOでアンドロメダ銀河を撮影する事に(撮影記録は次の記事でまとめる予定)。

 

結局、口径20Cm反射望遠鏡は星像が改善されない原因がわからずお手上げ状態となったのですが、最終手段がありました。

このSkyWacher BKP200/F800鏡筒は二台目で、初台は眼視観望時代も含めて約8年使っていたのですが練習用であちこちいじくりまわしていたのとスパイダーもちょっとねじれてしまっている感じだったので冷却CMOSでDeepSky撮影する様になった事もきっかけに昨年10月にセールで新たに購入した物です。

そこで、初台の主鏡を二台目鏡筒に移植してみました(主鏡マスクは二台目から取り外した同じ物を取り付け)。

休暇の最終日となった17日に運命をかけて?いざ撮影確認へ・・・星像を確認すると、星のおむすび型はなくなり元の丸い星像に戻った~!

これでいびつな星像の原因が主鏡であった事は間違い無い様です!

星像がおむすび型になる原因が主鏡の圧迫であったのならば、圧迫をとりのぞく様に取り付け直せば改善されるみたいですが、今回その様にしても改善されないという事は主鏡自体が歪んで変形したのでしょうか?・・・主鏡ガラスの厚みは25mmもあるのに微妙な数ミクロン的な変形が生じたのかもしれません。今までも主鏡洗浄の都度、セルからの取り外し・取り付けは何度もやっているのにこの様な事は初めてです。

恐らく今回の初日に主鏡の洗浄とマスクの付け替え等でセルに主鏡を取り付け直す際に良くない事をやっちゃったのでしょうが、最初に爪押さえより若干幅の狭いマスクを取り付けたので主鏡への押さえ部接地面が減って無理な圧がかかったか、爪押さえの金物を取り外して取り付けしたので締め付け加減がわからずに締めすぎちゃったのかもしれません。

結局、今回作製した内径の大きい主鏡マスクも使う事は無く、ただいらん事をしただけという結果に(>_<)

 

とりあえず、初台の主鏡を残していて良かった~!

 

と、いう事で星像改善での撮影を再開。最後の最後に散開星団のトンボ星団とペルセウス座の二重(hχ)星団エイチ・カイを撮影する事ができました。

トンボ星団 NGC457

右上には散開星団NGC436も入っています

撮影日:2023年9月17日 撮影開始時刻:22時34分、露出 : 180秒×20枚(60分)
撮影地:京都府舞鶴市
撮影ソフト:SharpCap 4.0
鏡筒: SkyWacher BKP200/F800
カメラ:QHY268C(Readout Mode#1Gain:57 OffSet:30 Temp:-2℃)
フィルター: IDAS LPS-P3
赤道儀:SkyWatcher EQ6R、極軸合わせ:PoleMaster
ガイド鏡:EVOGUIDE 50ED II、ガイドカメラ:Neptune-C II、ガイドソフト:PHD2
その他:F4コマコレクタ
画像処理: Pixinsight 、GraXpert-win64 、RawTherapee 5.8

トンボ星団は他にもET星団とかふくろう星団とかの呼び名がありますが、この三択では私ならふくろうって感じでしょうか・・・見ようによっては毛虫やセミにも見えなくないですよね・・呼び名微妙です。

反射望遠鏡で撮影するとトンボ(ふくろう、ET)の目の部分に光条が出るのが気に入っています。星の並びも色合いも美しいです。

トンボ星団 拡大

ペルセウス座の二重(hχ)星団エイチ・カイ NGC869(h) NGC884(χ)

撮影日:2023年9月17日 撮影開始時刻:23時47分、露出 : 180秒×20枚(60分)
撮影地:京都府舞鶴市
撮影ソフト:SharpCap 4.0
鏡筒: SkyWacher BKP200/F800
カメラ:QHY268C(Readout Mode#1Gain:57 OffSet:30 Temp:-2℃)
フィルター: IDAS LPS-P3
赤道儀:SkyWatcher EQ6R、極軸合わせ:PoleMaster
ガイド鏡:EVOGUIDE 50ED II、ガイドカメラ:Neptune-C II、ガイドソフト:PHD2
その他:F4コマコレクタ
画像処理: Pixinsight 、GraXpert-win64 、RawTherapee 5.8

同じ様な大きさの星団が並んでいて個々の星の色合いもとても綺麗です。

二重(hχ)星団エイチ・カイ 拡大

特にNGC884(χ)には直列二本が平行に並ぶ星の配列があり神秘を感じます。

 

当日、常に木々がザワザワするほどの風があったのですが、ガイドが良く頑張ってくれました。

PCによる観望は車内で行っているのですが10.8インチのモニターにWindows11デスクトップ表示の拡張機能でPHD2を表示させて常にガイド状態を確認しています。