台風7号が去った後も台風一過とはならず、京都府北部では不安定な天候が続いていて天体撮影を行う事が出来ないこの頃です( ;∀;)。
さて、今回は前回投稿したAskar 65PHQ 0.75×レデューサーでの撮影記録の続きとなり8月11日当日にM24付近を撮影した後、ペリカン星雲と北アメリカ星雲をコンプリートで撮影した時の記録です。
撮影機材は、
鏡筒: Askar 65PHQ、0.75×専用レデューサー(焦点距離:312mm(f4.6))
カメラ:QHY268C(Readout Mode#1Gain:57 OffSet:30 Temp:-2℃)
赤道儀:SkyWatcher EQ6R、極軸合わせ:PoleMaster
ガイド鏡:SVBONY SV165、ガイドカメラ:Cers-C、ガイドソフト:PHD2
その他:SVBONY FW(フィルターフォイール)、ZWO EAF(電動フォーカサー)
撮影途中で、フィルターをIDAS HEUIB-ⅡからZWO DuoBandに変更して二種類のフィルターで撮影しました。
IDAS HEUIB-ⅡはHα星雲強調型のUV/IRカット、ZWO DuoBandはHαとOⅢの波長域のみを透過するワンショットナローバンドになります。
露出時間は各360秒露光でHEUIB-Ⅱ×10枚、DuoBand×16枚です。
撮影した画像はIDAS HEUIB-Ⅱ、ZWO DuoBand、その両方をミックスした画像の3パターンとして、それぞれを画像処理しました。
画像処理方法は、PixInsightにて
1.WBPP(設定はデフォルトのまま加算平均)でLightフレームとDarkフレームのみを用いてキャリブレーション・位置合わせ・インテグレーション(コンポジット)
2.生成された画像をSPCCで色合わせ
3.STF(RGBの比率は変えないモード)とHistogram Transformationでストレッチ
4.SCNRで緑色ノイズ除去
5.処理した画像をPngで保存
6.保存された画像をPCフリーソフトのGraXpert-win64で勾配補正
7..その画像を再度PixInsightに取り込んでCurves Transformatkionで色彩微調整
8.Noise X Terminatorでノイズ除去
という流れです。
それぞれの画像処理の際には、後で各画像を比較できる様に処理方法の流れを同じとして各調整パラメーターもほぼ同じ値として行いました。
また、IDAS HEUIB-Ⅱと、ZWO DuoBandで撮影した画像をミックスする際はWBPPのLightフレームへそれぞれのワンショット毎の画像を全てぶちこんで加算平均合成で生成された画像を使用しました(HEUIB-Ⅱ×10枚、DuoBand×16枚)。
SharpCapでの撮影画像は、それぞれ一連の撮影ごとに違うフォルダーが作成されて保存されるのですが、その際違うフォルダーの中にあるファイル名は同じになってしまいますのでZWO DuoBandで撮影した分のファイル名はframe_後の先頭番号をそれぞれ1にリネームしています。今回は各フィルターとも同じ露光(360秒)で撮影していたので、連続した画像として処理できました。
各フィルターごとの処理画像の比較です。
IDAS HEUIB-Ⅱで撮影した画像 (総露出時間:露光360秒×10枚=60分)
ZWO DuoBandで撮影した画像(総露出時間:露光360秒×16枚=96分)
IDAS HEUIB-ⅡとZWO DuoBandで撮影した画像をミックスした画像
上記三つの画像を並べて比較
今回、二種類のフィルターで撮影した画像をミックスしてみて
・ワンショットナローバンドフィルターで撮影した場合、星雲は強調される反面、星の数と背景の明るさは減少してしまう(それがワンショットナローバンドフィルターで撮影する目的なようなものですが(^^;))。
・UV/IRカットフィルターでは星と背景は明るく写るが星雲の強調は弱い。
それらをミックスする事により、それぞれの利点を使って自然かつ星雲を強調できないかと考えた訳ですが、ミックス画像の結果は『まあまあ』かなという印象です。二つのフィルターの良い所を平均っぽく出せたので、それは計画通りかなと思いますが、もうちょっと星雲強調が出てほしかったです。
ミックスさせる方法を変えたり、ミックス画像からStarNet++等で星分離を使用して星雲だけを強調させるなど処理次第ではもっと良く仕上げる事も出来るかと思いますが色々やると私の性格上、変な方向に暴走しそうなので、今回はこの辺で良しとして、今後色々と画像処理も勉強していきたいと思っています。
まとめ
今回の様に違うフィルターを使用して撮影した画像をミックスすれば、それぞれの長所どうしをうまく使って特別な画像を得られる場合も有ると思いますので、今後もテストしてみたいと思います。